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さんかくざん じょうしょうじ三鶴山 浄照寺

東急田園都市線 鷺沼駅を出て、歩いていくと見えてくる浄照寺。ガラス張りの自動扉からは、美しい本堂の様子が見えている。お荘厳(仏壇や本堂を仏具やお花などで飾り整えること)は、天竺(インド)様式だという。この建物ができたのは、令和6(2024)年のこと。「築地本願寺の外観も天竺(インド)様式ですし、街のお寺としては珍しいので、一からつくるのなら、他と違った面白いものがいいなと思ったんです」と住職の加藤孝充氏。

「ご門徒ファースト」のお寺をめざしていますという言葉の通り、できるだけ入りやすく、気軽に立ち寄るお寺になるよう、さまざまなアイデアが凝らされているのが印象的だ。またそこには、「いつの時代も家族で支え合って生きるには」という住職の思いが込められている。

歴史

平成5(1993)年、10月、川崎市高津区に「築地本願寺川崎布教所」を開設したのが、浄照寺の歴史の始まりだった。東急田園都市線沿線は東京に勤務する人が暮らす人口の多い土地だ。しかし、浄土真宗のお寺が少ないことから、都市開教の寺院として、築地本願寺川崎布教所は誕生している。平成10(1998)年、現在の土地に移転。「浄土真宗 本願寺派 浄照教会」の名を経て、平成16(2004)年には、宗教法人となり現在の「浄土真宗 本願寺派 浄照寺」となる。令和6(2024)年にお寺を建て直し、現在の寺院となる。

「もとの建物は、一般の会社の社屋を譲り受けて改築していました。僕が子どもの頃は、『お寺だったんだね』『何をやっているのかわからないね』などと言われたりもしました。ですから、建て替えるときは、ガラス張りで外からみえるお寺にすることで、地域の人がふらりと立ち寄ることができ、子どもたちがお寺だと認識できる場所になるといいなと考えていました」と長男の加藤蓮氏。院内をバリアフリーにし、誰にでもやさしいお寺となっている。

住職インタビュー

■お寺の次男として生まれ、都市開教の僧侶へ

私は、福井県福井教区にある浄因寺の次男として生まれました。小さいときからお寺を身近に感じながら育ちました。

父は、私が中学生になるころに往生し、中学3年生だった兄が住職としてお寺を継ぎました。まだ若い住職を親戚や代務の住職、ご門徒の皆さんが支えてくださる様子を、私も幼いながらに見てきたように思います。

そんな私が仏教の道に進むのは、自然の流れだったと思っています。今となってはわかりませんが、父が健在で、もし「僧侶になれ」と言っていたら、反発して僧侶になる道を選んでいなかったかもしれません。まったく想像の話ではありますが、今思うと、私が僧侶になったのは、そんなご縁の中にあったのかなとも思います。流れに逆らうことなく、ごく自然なこととして、都市開教の住職となることを選びました。

■「ご御門徒ファースト」のお寺をめざ目指して

私がめざすのは、誰にとっても敷居の低い「ご門徒ファースト」のお寺です。

当院では、法事もすべて「正信念仏偈(正信偈)」というお経をとなえます。そこで、正信偈に読みやすい仮名が振られている草譜を製本し、皆さんにお配りしています。通常の正信偈は、行譜と草譜が併記されていて複雑なのですが、草譜のみを記すことで、ご門徒の皆さんも一緒にお経をとなえやすいのではないかと思っています。

また、正信偈を一緒に読んでいただけるよう、YouTubeを開設したり、お寺に参るたびにマイル(=参る)が貯まるマイレージカードを10年前に制作しました。マイレージのキャラクター「マイルン」や、坊守による仏教讃歌のCDをつくるなど、ご門徒の皆さんにお寺を身近に感じていただけるよう工夫しています。
さらに、落語の演芸会「気楽亭」を開催。ご門徒さんに限らず、地元近隣の方に足を運んでいただくきっかけになればと考えています。

■お念仏を通して伝えたい「ともに生きる喜び」

お念仏を通して、私たちが伝えていきたいのは「ともに生きる喜び」です。南無阿弥陀仏というお念仏は、阿弥陀様からわたしたちひとりひとりに向けられたものですが、それは誰もがいっしょにいただけるものでもあります。ともに生まれ、ともに生き、ともに同じ道を行く。一緒にお念仏を称えることで、その思いを一緒に感じることができればと思います。

また、「ともに生きる喜び」には、お念仏を喜ぶ身近な方とのつながりがとても大切です。み教えを通し、自分自身と向き合う中で、自らの生きる方向はしっかりと定まってきます。喜びの伝播とでもいうべきものが、父が子へ孫へと繋がっていくためにはどうしたらいいのか。少子化や時代の移り変わりによって、お寺に足を運ぶ方が減りつつありますが、お寺として何ができるか、次の世代である長男らとともに考えていきたいと思います。

衆徒インタビュー

■お寺を誰が来ても、どう居ても、安心できる場所に

僕は父である住職の「ご門徒ファースト」という考え方が大好きです。父の「ご門徒あってのお寺」だという考え方が表れていると思います。ですから跡継ぎとして、父の根本の考え方を引き継ぎつつ、新しい方法やアイデアがあれば、試していきたいです。

落語会「気楽亭」は、そんな思いから企画したものです。お寺は誰が来ても、どう居ても、安心できる場所であってほしいと僕は思っています。地域の人がふらりと遊びに来てくださったらうれしいですし、今すぐご縁が繋がらなくても、10年後20年後、家族に連れられて落語会に来たお子さんが大人になって「このお寺に以前来たことがあったなぁ」と思い出し、ちょっとお参りしてみようと思っていただけるとうれしいです。

■命の問題を解決する回答のひとつに仏教がある

僕は、命の問題を解決する回答のひとつに仏教があると考えています。そのことを伝えていきたいですが、まずは法話会などの機会に、「今聞いた話は、わたしたち人にとってとても大切な話なんだ」と伝わればと思っています。

現代の世の中には、迷った時、困難な時に、頼る先はさまざまありますし、その時々に、個人の選択があればいい。その中で、僕は「依り所のひとつとして仏教があるんですよ」「選択肢のひとつに仏教がありますよ」と伝え続けていきたいと思っています。

葬儀、法事・法要

法要には、50人程度集まっていただけます。

葬儀に伺うと、私がその方を知っていれば知っているほど、本当の悲しみの中にいる人に対して、私自身も言葉をかけられない時があります。そんなときは、ただ精一杯心を込めてお念仏を称え、仏様の「安心せよ、まかせよ、必ず救う」という言葉のお取次ぎをさせていただいています。

イベント情報

仏教講座(隔月)

隔月で、法話をしていただくご講師を迎えて仏教講座を開催

落語会「気楽亭」(不定期開催)

寺院情報

寺名(ふりがな) 三鶴山 浄照寺 (さんかくざん じょうしょうじ)
住職 加藤孝充 かとうこうじゅう
郵便番号 216-0004
住所 神奈川県川崎市宮前区鷺沼2-5-7
電話番号 044-855-2780
ホームページ https://sankakuzan.com
交通

<電車の場合>
東急田園都市線鷺沼駅南口を出て、徒歩約8分
※鷺沼駅南口を出て、フレル鷺沼を正面に見て桜並木を右に行きます。坂を下ったところで鷺沼小学校に出たら左に行きます。国道246号線鷺沼2丁目交差点に出たら渡らずに右に行くとそこにあります。

<タクシーの場合>
行き先を「国道246号線鷺沼2丁目交差点、出光ガソリンスタンド正面の浄照寺」とご指示ください。

<自動車の場合>
国道246号線鷺沼2丁目交差点近く、上り車線に面しています。出光ガソリンスタンドの正面です。
東名川崎インターチェンジから2.5km

駐車場 6台(最大10台)
地図