文字サイズ

  • 普通
  • 大きく

あんらくざんじゅうおんじ安楽山 重恩寺

桐生駅から車で約5分の静かな住宅街の一角にある重恩寺。優美な本堂前には真っ直ぐ空へ向かってそびえる1本の銀杏の木、そして6代目の現住職が大事に育てているという蓮が活けられ、境内は清々しく伸びやかな雰囲気である。

野球観戦と草木の世話が趣味という住職の好きな言葉は、「従佛逍遥帰自然(仏に従いて、逍遥をして自然に帰す)」。「“逍遥(しょうよう)”という言葉が入っているのがミソ。逍遥は、何ものにもさまたげられることのない他力のはたらき。その救いにこころ安んじて往ける姿を“散歩する”“ぶらぶらする”という風にたとえているのですよ。」とほほ笑む住職。穏やかな住職の人柄が、爽やかで開放的なお寺の雰囲気を作り出しているかのように見える。

当寺には、作家五木寛之の「親鸞」の挿画や、宗派でも重要な法要である「専如ご門主伝灯奉告法要の記念中啓」の絵を手掛けるなど浄土真宗とゆかりも深い、現代美術の山口晃画伯の描いた「80代の親鸞」が所蔵されている。

歴史

江戸時代の嘉永元(1848)年、江戸築地御坊の出張所として開かれ、初代 多田立観が着任したという。しかし立観は病気で早くに急逝したため、市川の了善寺から吉田常道が桐生に来て2代目として布教活動を継承した。以降、代々寺院を引き継ぎ、現在は6代目の慶哉氏が住職を務めている。

寺院のある群馬県桐生は、機械・繊維産業が盛んな街であり、江戸時代には「西の西陣、東の桐生」と称された織都の一つ。産業に参入するため浄土真宗が盛んだった新潟、富山、石川といった北陸地方から多くの人々が桐生へ移住してきた。

ところが当時、桐生には浄土真宗の寺院が一ヶ寺もなく、ご門徒は大変困ったという。そこで江戸築地御坊(現:築地本願寺)に願い出て、み教えを大切にするご門徒が憩う念仏の道場としてお寺が建立されるに至った。

住職インタビュー

■常に感謝の心を忘れずに

私は栃木県益子の浄土真宗の寺に生まれました。高校まで地元で過ごした後、龍谷大学進学のため京都へ行き、卒業後は伝道院や月参りの手伝いをして約5年を過ごしました。京都での生活に大変愛着がありましたが、父親である前住職の体調が思わしくないということもあり、築地本願寺に勤めることが急遽決まったんです。築地に5年程いる中で、ご縁があり29歳の時、桐生にやってまいりました。当初は故郷の隣県でありながら風土や習慣の違いに少なからず戸惑いを感じておりました。しかし桐生のご門徒の皆様は、外からやってきた自分を温かくもり立ててくださったのです。皆様には感謝の念でいっぱいでございます。

 

■「一期一会」の精神を大切に相手に接する

法事やお葬式、法話会など、自身としては何度も同じことをお話する機会がありますが、お会いする方々は都度違います。特にお葬式の場面では、愛しい人をなくされた方々の悲しみと丁寧に向き合うように心がけています。

私は龍谷大学時代に茶道を習っていました。茶道の心得である「一期一会」の精神を大切に、何事も粗末に扱うことのないように努めています。

 

■お寺を身近に感じてもらえますように

多くの方々は、お寺に対して敷居が高いと感じてらっしゃるかもしれません。浄土真宗という宗派でさえも分からない方も増えていくでしょう。しかし急激に移り変わる生活や価値観に合わせ、皆さまが感じる敷居の高さをどれだけ下げられるかが重要だと思っています。土地柄、圧倒的に他宗派が占める中で、私は「浄土真宗はこうなんですよ」と無理強いすることはいたしません。ご門徒の方々とお話をする際も、なるべく仏教用語は使わないようにしてわかりやすく話をするように心がけています。

葬儀・法事・法要

「死とは、亡くなられた方がお骨になるのではなく、仏になること」とし、法話の中では「念佛申される所に亡くなられた方がいらっしゃるんですよ」と伝えているという住職。そうした話を通して、それまで手を合わせることもなかった人が、次の法事の時には念珠を持参し、お念仏を声に出して申されるという変化が見られることもあるそうだ。

■当時での葬儀の対応は、お骨の状態、80名までの参拝であれば実施可能。

■希望があれば住職が遠近を問わず足を運ぶ。訪問が難しい際は、築地本願寺の方や最寄りの縁のあるお寺の方が行くことも可能。

お墓

境内にあるのは、一般墓と合葬墓。合葬墓は、約5年前につくられたもの。お参りは日中のみ可能。

※仕様、規格、費用はお墓によってそれぞれ異なります。詳しくは、寺院までお問い合わせください。

※管理料は、護持会費として費用をいただいています。

イベント情報

晨朝会(毎月1日朝6時)

正信偈のお勤め(読経)のあとに、皆でお茶を飲みながら住職のお話を聞く会。1月1日はお勤め終了後、別棟の会館で住職、総代の挨拶を聞きながら簡単な料理を食す互礼会を行っている。

仏教讃歌コーラス(第2月曜日午後1時30分~)

前坊守が始めたという仏教婦人会イベント。ご門徒やご信徒に配布している経典に掲載の仏教讃歌を歌うというもので、15年以上続く長期イベントとなっている。

仏教婦人会(定期開催)

昭和33年、第23世ご門主(勝如上人)がご巡教された際に命名頂き発足した「桐芳仏教婦人会」。62年経た現在も積極的に年間行事に参拝・協力するほか、新年会、コーラス、研修旅行など様々な活動を行っている。

永代経法要(5月下旬 13:00~)

春秋彼岸会(春分の日、秋分の日 14:00~)

報恩講(11月5日、6日)

寺院情報

寺名(ふりがな) 安楽山 重恩寺 (あんらくざんじゅうおんじ)
住職 吉田慶哉
郵便番号 376-0034
住所 群馬県桐生市東2-8-41
電話番号 027-744-6515
FAX番号 027-744-6520
E-Mail shouyou.y@dune.ocn.ne.jp
ホームページ https://www.namunamujyuuonnji.jp/
交通

【電車】

JR桐生駅より徒歩30分

【車】

JR桐生駅より5分

駐車場 お寺:4~5台  専用駐車場:8~10台
地図