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みのわさん こうさいじ箕輪山 光西寺

JR中央線・立川駅南口からタクシーで7分、JR南武線・西国立駅から徒歩でおよそ10分、閑静な住宅街にある箕輪山光西寺は、立川市で唯一の浄土真宗の寺院である。現在の住職・渡辺順誠(3代目)は2つの大学を卒業、2つの大学院を修了し、現在は4つ目の大学院に通っており、常に学び続けることを大切にしている。そこから「お寺は学びの場」と位置付けており、光西寺ではさまざまな学びのイベントが開催されている。年中行事としては春と秋の彼岸会、7月の盂蘭盆会、11月の報恩講、12月31日~1月1日の除夜会・元旦会などのほか、親鸞聖人ゆかりの地などの仏跡を訪ねる研修旅行等も実施している。

歴史

昭和の初め、茨城県結城市・称名寺のいわゆる“下寺”正徳寺の渡辺秀心が立川市錦町で始めた説教所が起源。独立して自らの寺院を持ちたいと考えていた秀心が、姉の嫁ぎ先がある立川をその地に選び、現在の立川駅付近に説教所を建て、布教を開始したことから光西寺の歴史は始まる。戦後(昭和20年代)、現在の羽衣町に墓所を作り、本堂などの建物は昭和30年代に建立された。山号の「箕輪山」はかつてこの地にあった「箕輪城」に由来し、現在「箕輪」は町会名にもなっている。もともと立川市は浄土真宗本願寺派の寺院がなかった地域である。新潟・北陸や広島・鹿児島などの真宗地帯からこの地に移り住んできた人々の中には本願寺派の門徒が多く、そうした人々からの布教の要請があったことも、この地に寺を建立するきっかけになった。現在でも光西寺の門信徒には、これらの地域の出身者が多い。

住職インタビュー

■“社会派”的な活動をする僧侶に

名古屋市の真宗大谷派寺院で生まれ育った私は早稲田大学(第一文学部ドイツ文学科)を卒業後、名古屋の同朋大学(文学部仏教学科)で仏教・浄土真宗の教えを学びました。その後、靖国問題や部落差別問題など大谷派内外の“社会派”的な運動に取り組み、平和や人権について考えるようになりました。そして、その流れで3年ほど参議院議員の秘書を務め、同時に主として大谷派と本願寺派の僧侶が共同で立ち上げた「平和と人権・仏教者ネットワーク」という団体で様々な運動(自衛隊海外派遣問題や戦後補償問題)に関わりました。そして、そうした活動を通じて光西寺の副住職であった現在の妻と出会い、それが本願寺派に転派して光西寺に入るきっかけでした。議員秘書辞任後、法学研究を志し、横浜国立大学大学院国際経済法学研究科修士課程(国際関係法専攻)で修士号を取得し(修士論文を『世界人権宣言の研究――宣言の歴史と哲学――』として2000年に日本図書刊行会から出版、2019年に22世紀アートで電子書籍化)、次に一橋大学大学院法学研究科博士後期課程(憲法専攻)で研究を続け、途中で光西寺の住職に就任し、2011年に早稲田大学大学院人間科学研究会修士課程(生命倫理専攻)に入り直して2つ目の修士号を取得し、現在は同大学院社会科学研究科博士後期課程(日本文化論専攻)で研究を続けています。現在の研究テーマは「安楽死の日本文化論」です。

 

■「お寺は学びの場です」

このようなことから、私はお寺を「学びの場」と位置付けています。光西寺では現在、定例学習会として「仏教講座」「真宗講座」「親鸞文学研究」「仏教と女性」という名称の講座を設けています。その他、映画会として、以前は「映画で学ぶ生老病死」として生命倫理の諸問題(出生・高齢化・告知や安楽死・尊厳死等)をテーマにした映画の鑑賞と話し合いをしていましたが、今は「映画で学ぶ歴史と人間」として歴史的な大作・名作と言える映画の鑑賞と話し合いをしています。「仏教と女性」という講座は最近副住職が始めたものですが、彼女はこれとは別にしばらく前からコーラス(光西寺合唱団)も主催しています。さらに、私も今年から以前やっていた「お勤めの練習と正信偈の解説」という催しを復活させました。とにかく、これらの催しを通して、仏教・浄土真宗の教えは勿論、それだけでなく広く宗教問題一般、また死生観や人生観などについて、参加者の皆さんと深く考える場を持ちたいと思っています。

葬儀、法事・法要

葬儀では主に「無常」と「往生」について語っている。

無常:人間が自分の死(一人称の死)について考えることは難しい。が、長年一緒に生きてきた人が亡くなることは自分の一部がなくなることであることから、そのような親しい人の死(二人称の死)を通して自身の死(無常)について考えることにつながるような話をしている。

往生:人間は「未来」がないと「現在」を生きられない存在である。例えば「明日」がないと「今日」生きることの意味が失われる。しかし、人間が無常な存在である限り、通常の「明日」(未来)はいつか必ずなくなってしまう。そこで、ちょうど「今日」生きるために「明日」が必要であるように、「現世」を生き抜くためには何らかの「来世」が必要となる。但し、「来世」が必要だからと言って、どのような世界でもよいわけではない。やはり苦しみに満ちた「地獄」であっては困る。だから、私たちは苦のないところ・楽あるところ、即ち「極楽浄土」に往き生まれることを願わずにはいられない。だいたい、そんな話をしている。

法事・法要には亡き人を「訪(とぶら)ふ」という意味があることを、「前(さき)に生れんものは後(のち)を導き、後に生れんひとは先を訪へ」という道綽の『安楽集』(『教行信証』後序に引用)の言葉を手がかりにして話している。それは具体的には折に触れて亡き人の言葉や行いを想い起こし、自らの生き方を再考することである、と。

お墓

境内には750基あまりの墓がある。これは一般墓所の数であるが、その他に「倶會一處(くえいっしょ)」という名称の合葬墓と、最近試みに作った「蓮台墓(れんだいぼ)」という名称のレンタル墓がある。「倶會一處」は個人単位で骨を収める墓であるが、近年増えてきた「墓じまい」をする人にも利用してもらっている。この名称は『仏説阿弥陀経』の文言(「得與如是、諸上善人、倶會一處=かくの如きの諸上善人と倶に一處に會することを得ればなり」)から取ったもので、「このような良き人々と倶(とも)に浄土という同じ(一つの)場所(処)に集う(会する)」という意味である。また、「蓮台墓」という名は「蓮台に乗って浄土へ行く野」という意味を持つ「蓮台野」(れんだいの・デンデラ野)という言葉にちなんだもので、「倶會一處」に合葬する前段階の一定期間(1年~10年)、「個別の墓所」として使用できる形態の墓所である。

イベント情報

光西寺映画会(偶数月第4金曜日の13:30~16:00)

・光西寺本堂にて開催。「映画で学ぶ歴史と人間」というテーマで映画を鑑賞し、意見交換などをおこなう。

・参加費:無料

仏教講座(第1土曜日(12月のみ第2土曜日)の14:00~16:30)

光西寺書院にて開催。講師は慶應義塾大学非常勤講師・岡本一平氏。大乗仏教の基本やその多様性について学べる。

真宗講座(第2月曜日の13:00~15:30)

講師は光西寺副住職・渡辺頼陽。浄土真宗の教えや歴史などを学ぶことができる。「浄土真宗聖典」をテキストとして、輪読・質疑応答などをおこなう。

親鸞文学研究(第4水曜13:00~15:30)

「親鸞文学」を対象とした講座。住職が重要なものを解説し、参加者がそれを踏まえて近現代の文学作品について報告する形式(但し強制されることはなく聞くだけの方も気軽に参加可)。親鸞の生涯に関心があれば、どなたでも参加できる。

女性と仏教(第3火曜13:00~15:30)

副住職が講師をつとめ、女性と仏教をテーマに、参加の皆さまとともに学ぶ講座。「日本における仏教と女性の歴史」として、古代からの女性の地位の変遷と宗教や仏教との関連性であったり、今後は、法然・親鸞や日蓮が女性信者から受けた質問に対するお手紙を手がかりに、各宗祖の女性に対する眼差しを見る、等を予定している。

寺院情報

寺名(ふりがな) 箕輪山 光西寺 (みのわさん こうさいじ)
住職 渡辺順誠(寿台順誠)
郵便番号 190-0021
住所 東京都立川市羽衣町3-20-16
電話番号 042-522-3413
FAX番号 042-524-7788
ホームページ https://www.kousaiji.tokyo/
交通

JR南武線・西国立駅から徒歩で約10分

駐車場 4台
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