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さいしょうざんがんせいじ最勝山 願誓寺

願誓寺が建つ深谷市は、埼玉県随一の農業地帯だ。その中心となる深谷駅周辺にはゆったりとした住宅地が広がり、街には往時の趣きを残す風格のある商店も点在する。願誓寺は、そんな深谷市で唯一の浄土真宗寺院だ。

天気のよい日には本堂の戸は開け放たれ、山門がありながらも入りやすい雰囲気が魅力。先代住職は庭好きだったといい、高い空の下、高低さまざまな樹木が目を楽しませてくれる。朝方には裏手にある保育園から子供達の明るい声が響き、穏やかな雰囲気に心がやすらぐ。

歴史

開基である宗元(そうげん)法師は、俗名を中島丹助といい、江戸時代後期の寛政年間に滋賀県の近江から移り住み商売をしていた人物だ。信仰篤く、商売を息子に譲ったあと得度して僧侶となり、中山道沿いに出していた店の横に説教所を開いて布教を始めた。この地には他にも近江商人が集まっており、商家を中心に門徒が集まったという。

この説教所を母体として、文政7(1824)年に願誓寺が起立。約30年後の安政2(1855)年には、現在の願誓寺の隣に建つ曹洞宗の寺院の寺領を譲り受け、この地へと移った。当初は本堂がなく、閻魔堂を本堂として使っていたのではないかと現住職は話す。

現在の本堂は明治5(1872)年に建てられたもの。今も当時の骨組みが残されている。本堂中央の欄間は平成30(2018)年に塗り直され、鮮やかな色を取り戻した。その奥には、平成元(1989)年に塗り直した阿弥陀如来像が輝いている。向かって左手には、願誓寺が創建された時期の一代前にあたる、本願寺第18代門主文如(もんにょ)上人の御影が見える。聖徳太子尊形と親鸞聖人御真影は、昭和40(1965)年に深谷市指定文化財に登録されたものだ。

住職インタビュー

メイン住職インタビュー 

■“普通の家”からお寺に入った

私は元々深谷の生まれではないんですよ。先代は遠い親戚なのですが跡取りがおらず、親戚の中で私に白羽の矢が立ちました。普通の家で育って普通の大学に通っていましたし、まさか自分が継ぐとは思っていませんでした。卒業後に一般企業で働いて、仕事を辞めたあと深谷に引っ越し、築地本願寺の東京仏教学院の夜間の学科に一年間通って得度しています。

そんな経歴もあり、お寺というのは全然別の世界だと考えていました。一般の方も「こんなことしたら仏さんが怒る」とか、お墓を建てた後に悪いことがあると「建て方が悪かったんじゃないか」と悩んだりすることがあると思うんです。でも浄土真宗の教えでは、その発想そのものがなくなります。お盆にも特別なものを買い求める必要はなく、いつも通りでいいんです。「うちのお寺はうるさくないから楽よね」と門徒さんはおっしゃるのですが、浄土真宗の考え方がそもそもそういうものなんですよね。

 

■お寺は「街」のようなもの

私自身は、お寺とは街のようなものだと思うんです。来る者は拒まないけれど、去る者は追わないというような。月1回の法話会に通っていた門徒さんの中には、お坊さんになりたいと言ってつい最近僧侶になった方もいますが、私が勧めたわけではありませんでした。浄土真宗では、生きているうちに仏弟子になって生前に法名をもらうという慣習がありますが、ご自身で決めていただくことが大事だと思うので、それもこちらから強制はしていません。無理になにかをするよりも、「いつもお寺は変わらないね」と感じていただける場所であればと思っています。門徒さんにとって居心地のいいお寺になっていれば、自然といろんなご縁があると思うんです。

葬儀、法事・法要

通夜勤行後の法話を大切にし、また、ゆっくりとご遺族と話す時間を持つようにしている。

浄土真宗では他の宗派で使う清め塩を使わないなど、他宗との違いも多い。だが、他の宗派の家に嫁いだ親族などがこうした違いを混同してしまっても、あれはだめ、これはだめ、とあまりやかましく言わないようにしていると住職は話す。「おいおい知っていただければいいと思いますし、それよりも、大事な方との最後の時間を納得いくように過ごしていただくことを重視しています」

 

  • ほとんどが斎場での葬儀。希望すれば本堂で行うことも可能。
  • 最大20名で使用可能な椅子を備えた休憩室がある。

お墓

墓地は境内から2、3分歩いた場所に設けられている。民家に囲まれ、目の前には深谷小学校が建つ。子供達も気軽に立ち寄っていくという明るい雰囲気だ。

合葬墓には歴代の住職も納められている。墓地は常時解放されているので、終日お参りが可能。連絡なしで停められる駐車場が約30台と充実しており、車でも安心してお参りができる。

 

【一般墓】

使用冥加金:50万円~

年間管理費:3,000円~

 

【合葬墓】

使用冥加金:10万円以上+法名彫刻実費(1名3万円~)

 

イベント情報

法話会(毎月第4土曜日)

月1回、第4土曜日に開催する聖典輪読会。フリーテーマでの法話を行うのではなく、住職とともに仏教聖典を学ぶ、仏教の教えを知りたい方に向けた定例会だ。そのほか、布教使による不定期の法話会も年4回ほど開催。

 

婦人会ヨガ(年1回(不定期))

ヨガインストラクターの門徒が講師を務める。自宅で日々の暮らしに取り入れられるよう、強度のきつくないやさしい動きを中心とし、椅子に座ってできるポーズを指導している。

寺院情報

寺名(ふりがな) 最勝山 願誓寺 (さいしょうざんがんせいじ)
住職 増井 信行
郵便番号 366-0821
住所 埼玉県深谷市田谷313
電話番号 048-571-4048
交通

JR高崎線「深谷」駅から徒歩10分

駐車場 30台
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