延立寺は三度の移転を経て現在の地にたどり着いた。江戸時代前期の寛永8(1631)年、長州・萩の庄に創建。天和2(1682)年、現在の東京都港区にあたる武蔵国豊島郡柴井町に移転する。その後享保15(1730)年に現在の東京都港区三田に移転し200年超の時を重ねるが、昭和20(1945)年、東京大空襲で本堂をはじめほとんどの建物や寺宝が焼失してしまう。過去の詳しい歴史を伝える史料も焼けてしまったそうだ。
戦後、焼け跡にバラックを建てて再スタート。戦時中の疎開で残された御本尊や過去帳と共に、徐々に往時の姿を取り戻してゆく。そんな頃、地区の再開発事業が進む中で現在の八王子市犬目町の土地の紹介を受け、昭和47(1972)年この地に移転した。以来、自然豊かな地の緑をさらに色濃くしながら、移転当時の本堂を守り続けている。