本覺寺の歴史は古く、火災や戦争などの影響で幾度か焼け落ちたことがあることから、正確な歴史を知ることはできない。ただ、平成15(2003)年に住職を受け継いだ小林則子氏は、大規模な改修に伴い寺院内の整理をしていたところ、8代目住職が記した書物を発見。そこに書かれていた内容によれば、開基は400年以上前だということがわかった。
ちなみに、現在の本堂は昭和57(1982)年に造られたもので、その前は明治に一度焼け落ちてから、長らく仮本堂だった時期が続いていたという。また、現在の西墓地があった場所には戦時中は防空壕があり、当時は多くの住民が戦火から逃れるべく、避難してきた。小林氏は、当時を知る門徒から「銀杏の木には、爆弾の破片が貫通して穴が空いていた」と聞いたことがあるというが、現在、その穴は見当たらない。樹木の回復力でふさがったのか、それらしいくぼみが残っているだけだ。
平成16(2004)年に行った改修工事では、地盤改良も施し、それまで庭だった部分に客間を移動。それぞれ独立していた本堂とも内部でつながり、参拝客が訪れた際に行き来が楽にできるような造りにした。遠い昔から、人々の生活の中心にあった寺の形を現代に残さんとする、小林氏の願いも込められている。