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ほうげさんきょうがくじ寶華山 敬覚寺

近所に浄土真宗のお寺が三軒も並ぶ、練馬区の谷原エリアの1カ寺・敬覚寺。立派な瓦屋根の木造本堂、そして貴重な水琴窟や手入れの行き届いた、見事な日本庭園を所有する。

かの山本五十六元帥が海軍兵学校に通っていた大学4年間、築地時代のこのお寺のはなれで下宿していたそうで、現住職の先々代は山本氏から英語を習ったと伝えられている。

現在の18代目の住職・大江義宏氏は、長年にわたり民生児童委員・保護司を務め現在は練馬区社会福祉協議会会長として、寺院活動と共に地域への取り組みにも精力的だ。ご門徒だけでなく、近隣の住民の方が日々訪れる、いわば街の潤滑油的存在のお寺だ。

歴史

敬覚寺ははじめ、「専照寺」という号で寛永18(1641)年7月、江戸の青山に建立されたといわれている。開基は了玄上人で、その師は浄土真宗本願寺派第13世宗主の良如上人であった。徳川家康の二十五回忌に出席するために上京した良如上人とのご縁によって青山専照寺の建立につながったという。

明暦3(1657)年の明暦の大火で江戸の大半が焼け、寺は青山から築地に移転。寶華山敬覚寺と改称する。その後、関東大震災が起きた大正12(1923)年に寺は焼けてしまった。再建を検討したが、まわりには多くの寺があり、仲がよかった住職がまとまり3軒(敬覚寺、宝林寺、真龍寺)がともに移ろうということで土地を購入し分割。昭和3(1928)年頃に、築地からお墓もろとも現在の地・練馬区谷原へ移転した。移転の際には、大八車にお墓を積んで椿山荘の急坂を下って移ってきたと伝えられている。

住職インタビュー

■新社会人の心に仏教の教えを刻む

地域へお役に立てることがあればと思い、近所にある企業の新入社員20〜30名の研修会を、毎年2日間、10年以上継続して行っています。「お坊さんが新入社員研修? 」と驚かれるのですが、仏教の教えを基に社会人としてのマナーや、人としてのあり方、考え方などについて研修を行っています。そして自分の人生観を書いてもらうんです。すると新社会人としての清らかな覚悟を持つようになるんですね。副住職からはお念珠作りを教えています。「1つ1つの珠は紐でつながっているけれど、紐が切れたらバラバラになってしまう」という話をすると、「人と人のつながりは大切で、自分勝手なことはできないな」ということを学ばれていきます。働くだけではなく、どう生きたらいいのかということを考えることも必要だと思いますから。

 

■“実践”によって新たなご縁をつなげる

このお寺で特徴的なのは、掲示板です。他のお寺でも行っているとは思いますが、掲示伝道ということで俳句位の長さの言葉を書いて掲げています。仏教的な教えや専門用語ではなく、日常で使っていることわざや読んだ本などから自分が良いと思う言葉を掲示しています。聞いたところによると、近所の中学生や学校の先生方がそれをメモして、朝礼の時にお題に出してディスカッションをされているそうです。掲示は50年ほど続けていますが、お寺の前をよく通られる方がご葬儀の相談に来たりもされるなど、掲示板が呼び込んだご縁がたくさんあります。

また、先代の住職は、遠方のご門徒さんが1日がかりでいらっしゃった際、お寺の周りに飲食店などがないからと、お寺でお蕎麦をふるまっていたんです。その名残でお彼岸にはお蕎麦を出すということが続いたのですが、最近は衛生面の観点からあんパンを差しあげています。昔から当寺には、「良いと思うことを実行する」ということが自然と受け継がれてきていますね。

葬儀、法事・法要

近年は1日葬で済まされる方も多く、葬儀に対する人々の意識も昔とは異なってきていると語る住職。お寺で葬儀を行って、遺骨を忘れそうになる人もいるという状況から、亡くなった方を仏様として敬う風習が時代とともに消えかかっていることに懸念を抱いているという。

葬儀では人間の最期のお別れであり、お浄土にお見送りする儀式の心得を伝えている。ただお経をあげておしまい、ということではなく、「なぜお経をあげるのか」「命が終わってどこへ行くのか」というお浄土の思想を住職は伝える。

 

・当寺での実施可能

※葬儀はお寺でできる。ご縁のある方が中心、ご縁のない方も可能。ただし、電話一本でご自分の都合で入ってこられる方もいらっしゃるので、そういう方はお断りしている。

 

・控室あり、食事の手配あり

お墓

一般墓、永代護持合祀墓(敬覚寺無量寿塔)

今までは他宗であったが、これからは浄土真宗でお願いしたいという方も受け入れる。

管理費・門徒講金:一口300円以上/月(年払)

お線香は寺で用意(費用はお心添え)、お花は持参

イベント情報

チャリティージャズコンサート(毎年1回秋)

住職自身がジャズ好きということもあり、東日本大震災・熊本地震大震災復興支援等としてプロのジャズバンドの生ライブをお寺で開催。誰でも参加可能。

懇親旅行会(隔年)

婦人会を中心に実施する懇親旅行会。過去には新潟の赤倉温泉、茨城の袋田温泉など、仏跡参拝などを行っている。

寺院情報

寺名(ふりがな) 寶華山 敬覚寺 (ほうげさんきょうがくじ)
住職 大江 義宏(おおえ よしひろ)
郵便番号 177-0032
住所 東京都練馬区谷原6-8-12
電話番号 03-3996-1833
交通

西武池袋線「石神井公園駅」北口よりバス成増町行き「三軒寺」徒歩3分

東武鉄道東上本線「成増駅」より西武バス「三軒寺」下車、徒歩3分

駐車場 境内の駐車:18台 、境内外の駐車場:5台
地図