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かっこくざん ぜんぎょうじ鶴谷山 善行寺

平成18(2006)年、当時浄土真宗の寺が少なかった埼玉ブロックに、都市開教布教所の一つとして開設。その後、平成24(2012)年本堂も建立。今ではすっかり、人々が仏の教えに触れる「地域のオアシス」となっている。周囲は閑静な住宅地で、主に30〜50代の夫婦とその家族が暮らす比較的若い街。寺の前にある公園では、子供たちが元気に遊ぶ姿が見える。
アウトドアが得意な吉井住職は、ボーイスカウトのサマーキャンプで火起こしのような実践的なことも指導。自らマイクロバスを運転して子供たちを引率したり、活動的で明るい性格だ。また、坊守を中心とした子育てサークル「マミコミ」も活発。ベビーマッサージ講座や子供たちの誕生会、さらには着付け講座などママが主役の企画も行い、内容はバラエティに富む。

歴史

アメリカで海外開教使として活動していた住職は、帰国後、都市開教を志すことに。浄土真宗本願寺派・築地本願寺で研修を受けた後、2006年、浄土真宗本願寺派、及び本願寺派・埼玉県内寺院住職の承認のもと、埼玉県川口市内に布教所を開いた。当初、一軒家を借りて布教活動を行なっていたが、地域の人々との関係が深まるにつれ、参拝者が増加。平成24(2012)年、本堂を広く取れる現在地に移転し、東京教区埼玉組善行寺となった。移転後は、正月や七五三のような年中行事のほか、定例法座や写経の会といった行事を開催したり、親子で参加する親子法座、子育てサークル「マミコミ」など、ますます幅広く展開。それにより仏教や寺そのものの敷居が下がり、善行寺は自然と人が集まる「地域のオアシス」に成長していった。

なお吉井住職は、石川県羽咋市で500年以上続く善行寺の第15代住職の次男。山号「鶴谷山」 と寺号「善行寺」は、ここから受け継いだ。本堂に安置された内陣荘厳や仏具一式は、かつて住職が活動していたカリフォルニア州のボールス仏教会(浄土真宗派 北米教区・本願寺フレスノ別院直属)から寄贈されたもの。本尊の阿弥陀如来像は、浄土真宗本願寺派承認の仏師が善行寺のために新調した。

住職インタビュー

■「若い街」に設立された新しいお寺

浄土真宗では、昭和50年代からお寺のない街にお寺を作る首都圏都市開教プロジェクトを進めて参りました。私たち善行寺もその一環です。では、なぜ川口市北部の東川口駅エリアだったのか。以前海外開教使としてカリフォルニアのお寺におりましたが、日本に行ったことのない、日本語も話せない子供たちが日曜礼拝に来て、”ナモアミダブツ”とお念仏を申し、英語での法話を聴聞している。その姿にとても感銘を受けました。浄土真宗では、次の世代につなげるという施策を非常に重視しております。東川口のような若い世代が多い地域で仏様の教えを伝えることは、とてもやりがいがあるのではないかと思いました。

東川口は、昭和40年代に貨物線だったJR武蔵野線(当時の国鉄)が旅客に転用され、人口が増えました。さらに日韓共催のW杯があった平成14(2002)年、埼玉スタジアムの建設に伴い東京メトロの南北線を延伸。この2路線が東川口で交差し、利便性が一気に高まりました。こうして段階的に街づくりが進められたおかげで、昔からお住いの方々、昭和50年代に移り住んで来られた団塊の世代、ここ10年で加わった若い世代など、東川口は世代のバランスがいいんです。

 

■北米開教区での経験から芽生えた思い

カリフォルニアには、本願寺フレスノ別院の次席開教使として5年間ほどおりました。お寺にはさまざまな方が参拝にいらっしゃいましたが、まずは、日系アメリカ人。彼らは代々お寺に通っておられるので、仏教・浄土真宗になじみがあります。次に、ご夫婦のどちらかが日系アメリカ人というケース。昔は日系人同士の結婚が主流でしたが、今はお相手が白人の方、黒人の方、ヒスパニック系、中国系アメリカ人など多様化しています。そのため、夫と妻、どちらの宗教を選択するのか話し合い、仏教を選択されたという方がいます。さらに、平成13(2001)年の9・11の後、初めてお寺を訪ねて来られる方が増えました。仏教徒に改宗したいとおっしゃる方もいます。歩んできた道も価値観も違う人が集まる場で、私自身、日々勉強でした。

日曜礼拝の朝、本堂で準備をしていると少しずつ人が集まってきて、順に焼香して座っていくんですよね。10時には本堂がいっぱいになります。250人くらいでしょうか、その中には小さいお子さんも多い。私が渡米した頃、フレスノ別院が設立されてちょうど100年を過ぎた頃で、それはつまり、戦争や災害が起きても先輩たちはお念仏を大切に相続されていたということなんです。そうやって若い世代に想いをつなげていくということ。それが、東川口での都市開教にも通じると実感しています。

 

■坊守と共に「みんなの寺」を目指す

坊守とは、海外開教使をしている時に出会いました。実は、坊守の実家も同じ浄土真宗本願寺派のお寺で、彼女は元々海外開教使を目指していました。しかし見聞を広めるつもりで就職し、いつかお寺に戻ろうと思いながら、タイミングを逃してしまったとか。それでもずっと心の中に開教使になりたいという思いはあったそうで、結婚後は2人で協力し合い、ここまでやってきました。

善行寺で定期的に発行している寺報には、住職と坊守、そして2人の息子がそれぞれ自分で書いた文章を写真付きで掲載しています。ここは新しいお寺なので代々続くご門徒さんというのもいらっしゃいませんし、こちらの人となりを積極的に発信し、知っていただくことが、みなさんにとっての安心につながると考えています。また、子育てサークルや茶話会、町内の夏祭りに本堂ツアーを行うなど、初めての人でもお寺に来られるようなオープンな場も大切にしていきたい。お寺は住職や坊守のものではなく、みなさんのお寺。それが本来の形なのではないでしょうか。

葬儀、法事・法要

吉井住職は、生前相談をとても意味のあるものと考え、「心配ごとがあれば気軽にご連絡ください」としている。

以前、末期ガンで余命3カ月の男性が突然善行寺を訪れた。聞けば、「それまでお寺とは縁遠い生活をしてきましたが、こうなって初めて、田舎の祖父母が自宅の仏壇に手を合わせている姿を思い出したんです」という。そして、「1時間くらいいろいろとお話しました。帰り際、自ら進んで焼香して手を合わせてお参りされる姿を尊く感じました」と住職。その1カ月後にご家族から電話があり、その方が亡くなったことを知らされたそう。

生前に本人から意思表示があり、葬儀では吉井住職が出向きお話をした。その際、「以前お父様が訪ねていらしたんですよ」と伝えると、それを知らなかったご家族はようやく少しホッとしたような表情を見せたという。

「葬儀当日だけでなく、その前、そして四十九日、一周忌などその後も寄り添っていける。それがお寺というものです」と住職は言う

・法事を本堂で実施することが可能。葬儀は応相談。本堂の収容人数は50人程度。

・斎場やご自宅での葬儀、法事への訪問も可能。

イベント情報

写経の会(書いて味わう仏法)(春・夏・秋・冬の年4回)

約40分かけて写経し、浄土真宗の教えをじっくり味わう。手本があるので、未経験者でも参加しやすいのがうれしい。筆、墨などの道具類は善行寺で用意。参加費は墨代・お茶代として100円(初参加の際はさらに教本代500円)。

読んで学ぶ お経クラス(春・夏・秋・冬の年4回)

対象は、仏教・浄土真宗を基礎から学びたい方。正信偈、和讃、御文章浄土三部経の「仏説無量寿経」を通し、教えの内容について掘り下げて考える。レジュメは寺で用意するので、初めての人も安心。筆記用具だけ持参して。講座は50分程度で、参加費は教材費・お茶代として100円。

定例法話会(土曜礼拝)(毎月第2土曜 13:30〜)

住職の吉井誠光が執行する月例の法座。題材は、喪主を務める際の作法、エンディングノートの書き方など、日常の中から探しているので身近でわかりやすい。

寺院情報

寺名(ふりがな) 鶴谷山 善行寺 (かっこくざん ぜんぎょうじ)
住職 吉井 誠光
郵便番号 333-0811
住所 埼玉県川口市戸塚5-6-6
電話番号 048-295-4646
ホームページ https://www.zengyoji.jp
交通

JR武蔵野線・埼玉高速鉄道線「東川口」駅

もしくは埼玉高速鉄道線「戸塚安行」駅より徒歩約15分

駐車場 22台
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