■“仏教に出会えて良かった”〜歯科技工士からお寺の道へ〜
私は元々在家の出身です。横浜で歯科技工士をしていたのですが、正蓮寺の後継がいないということで親戚筋の私に声が掛かりました。先々代の住職はおじ、先代住職はおばに当たります。仏教学院、勤式指導所などで学業を積んだのち、山梨に参りました。
勉学に励んでいた時の印象的な出来事は、仏教学院に入ってすぐに目にした、同世代の20代の若者たちが堂々とお経を読んでいる姿。一般家庭で育った私にとっては大変衝撃的で、ただただ“すごいな”と感心いたしました。
それから学びを深めるうちに自身の考え方が少しずつ変わっていきました。それぞれの事柄には多角的な見方があり、一つの考えにしばられないことの大切さなど多くのことを教えられました。仏教に出会って本当に良かったと、改めて思います。
■「気軽に立ち寄れるお寺」を目指して
山梨にやってきて20年ほどになり、2021年に第20代住職となりました。
阿弥陀様の教えを伝える者として、助け合いの精神で社会貢献活動に力を入れています。そのため都留組(つるそ:山梨県富士吉田市・西桂町・都留市・大月市と神奈川県相模原市の17ヶ寺の組織)の活動にも積極的に参加しています。
その一つがフードバンクの取り組みです。認定NPO法人フードバンク山梨と連携して、ご門徒さんからお預かりした食糧を困っている方へ届けています。都留組の重点目標として格差の解消を掲げており、貧困家庭のためにできることは何だろうかと話し合ったところ、フードバンクの取り組みが始まりました。
また、著名人を招待しての講演会は皆さまにも好評でした。コロナの流行が落ち着いたら、またぜひ開催したいと思っております。
正蓮寺は仏壮会が盛んであることも特徴的です。寺の行事も仏壮会の支えがあってこそですので、大変ありがたく思っています。今後は女性たちの会合も盛り上げていきたいですね。
正蓮寺は「気軽に立ち寄れるお寺」でありたいという思いから、特に地域とのつながりを大切にしています。除夜の鐘などの行事を通じて、お寺をもっと身近な存在に感じていただけるようにしていきたいです。
今は都留の人口が減ってきており、大変心配しております。ひとつの寺としての力は小さいかもしれませんが、ご門徒さんや仏壮会、都留組、近隣の皆様の力を借りながら、地域のために出来ることをこれからも模索してまいります。