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いそべさん ほうせんじ磯辺山 寳専寺

温泉街として知られる伊東は、観光地としての賑わいを持ちながら、一歩住宅地へ入ると、どこか時間の流れがゆるやかになる。海のすぐそばまで山が迫るこの土地は、昔から人と人との距離を近く保ちながら暮らしてきた地域でもある。海沿いの街を抜け、山の方へ向かって坂道を上っていくと寳専寺は静かに開かれている。

境内へ足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのは、広々とした芝生と木々の緑だ。風が抜け、鳥の声が響き、街中とは少し違う時間が流れている。

地元の教育委員も務める十六代目・遠山泰範住職は、「御門徒さんたちとのつながりを大切にしています。お孫さんの進学のお話をしたり、最近体調はいかがですかとお声がけしたり。そんな何気ない会話を重ねています」と話す。

また、前住職の代から続く小学生向けの子ども会「てらこや」も毎月開催。お勤めの後、雑巾がけをし、境内で遊びながら過ごす時間は、地域の子どもたちにとって大切な居場所となっている。

寳専寺は、地域の人々がふと立ち寄り、また帰ってこられる拠り所としても機能している。

歴史

1588年(天正16年)、法眼圓清によって開かれたと伝えられ、浄土真宗本願寺派の寺として歩みを重ねてきた。

しかし長い歴史の中で、寺は三度の火災に見舞われる。1860年(万延元年)には現在の地へ移転。その際に掘られた井戸は、今もなお境内で使われ続けている。

本堂に安置されている御本尊は、建物に対して少し大きく見える。 「以前、御本尊の修復をした時、胎内に400年ほど前の元号(慶長十□年)が記されていました。かつての本堂は現在より大きかったという記録もありますので、火災の時、きっとどなたかが御本尊だけは持ち出して守ってくださったのではないでしょうか。」そう語る遠山泰範住職。住職の言葉からは、幾度もの災禍を越え、人の手によって受け継がれてきた寺への静かな敬意が感じられる。

住職インタビュー

「寺の子」として生まれました。お勤めする父の姿は見ていましたし、御門徒さんたちにも、とてもかわいがってもらっていたのですが、後継になりたいという気持ちは強くありませんでした。

父は龍谷大学に行ってほしかったようですが、当時の私は「東京で暮らしてみたい」という気持ちが強くて、東京の大学へ進学しました。

その後、当時築地本願寺の中にあった本願寺出版社東京支社に就職。仏教に触れていたいからというよりも、条件が良かったんです(笑)。

結婚して子どもを授かったとき「いずれは寺に戻らなければいけないんだろうな」という感覚もありましたし、「子どもを育てるなら地元の方がいいか」という思いもあって、子どもが生まれるタイミングで寺に戻ってきました。自分としては、強い決意で帰ってきたというよりも、時間をかけて少しずつ「軌道修正」していただいた感覚です。

子どもが生まれてから、この子が成長して「お寺ってどういうところ?お念仏ってなに?」と聞かれた時、自分の言葉で答えられるものがないことに気づかされ、そこから浄土真宗のみ教えを学ぶようになりました。

学ぶ中で、素晴らしい先生やご門徒さんたちとの出遇いがありました。その方々のお姿や言葉を通して、かつて自分をかわいがってくれたご門徒の方々が大切にしていたことがなんであったかを教えていただきました。

 

■自分や世間とは違う価値観を共存させながら生きる

当山の境内には芝生や山、木々が広がっていて、地域の方をはじめ、海外の旅行者の方まで様々な方々が足を運んでくださっています。

境内や本堂の空間が持つ雰囲気の中で、ふっと気持ちがゆるむこともあるでしょうし、寺族や、お寺で出会った仲間に、自分一人で抱えていた思いを吐露できることもあると思うんです。そして、仏様の教えを聞き、仏様のまなざしを通して、自分自身を見つめ直してゆける。お寺がそういう場所になればいいなと思っています。

仏さまの教えを聞く機会として、法要の他に、どなたでも参加できる毎月の法話会「十日会」を続けています。

もちろん、お寺にお参りしたからといって、苦しみそのものがなくなるわけではありません。でも、一人で抱え続けて重くなった「心の荷物」を、お寺で一旦置いていただけたらと思っています。その「心の荷物」には、日々の生活の悩みもあれば、「いのち」そのものに関わる苦しみもあると思うんです。日々の悩みを一旦置いて安心して考え直せる空間、「いのち」の大きな問題を仏さまの方が支えてくださっていると聞かせていただける場所でありたいです。

また、地元の小学生が参加できる「てらこや」という活動も続けています。子どもたちには、「阿弥陀さまは、どんな悪いことをしてしまっても怒ったりしないやさしい仏さまなんだよ」と話しています。人はいつも正しくいられるわけではないですし、良いことができない時もあります。世間の価値観だけが全てではないことを子どもたちに知ってもらえたら嬉しいです。

子どもたちにとっても、大人にとっても、お寺が世間とは違う雰囲気や価値観によって安心できる場所になるような活動をしていきたいです。

また、お寺だけでなく、日常の生活の中でも仏さまのまなざしに立ち返っていけるのが、「南無阿弥陀仏」とお念仏を称え、聞くことなのだと思っています。

お念仏をいただいて生きるというのは、自分自身や世間の価値観だけではなく、仏さまの価値観・まなざしを自分の中にいただいて生きていくことではないかと感じています。

葬儀、法事・法要

本堂での葬儀、法事・法要は約50人まで(椅子席)。その他、ホールなどへの出張も可能。

「臨終のお知らせの電話をいただいたら、『耳は最後まで残るといわれていますから、耳元でお念仏を称えて、聞いてもらってください』とお伝えしています。『同じ南無阿弥陀仏をいただいて、同じお浄土に生まれさせてもらいます』と受けとめてゆくきっかけになると思っています」と、遠山泰範住職。

墓・納骨堂

高台にある境内墓地は相模湾を見渡すことができる、絶景ポイントになっている。

納骨堂は、寳専寺歴代住職の廟所を、浄土真宗の流れをくむ有縁の方にも開放している。詳細については要問い合わせ。

イベント情報

定例法座 十日会(毎月10日 14:00〜15:00 )

※8月・11月は休座

子ども会「てらこや」(毎月第2もしくは第3土曜日 9:30〜11:30)

法要(随時)

春・秋彼岸会法要
盂蘭盆法要
永代経法要
報恩講法要 など

 

寺院情報

寺名(ふりがな) 磯辺山 寳専寺 (いそべさん ほうせんじ)
住職 遠山泰範(とおやま やすのり)
郵便番号 414-0043
住所 静岡県伊東市新井2-13-1
電話番号 0557-37-4458
ホームページ https://ito-housenji.com
交通

【車】 東京から約2時間
【電車】JR伊東駅より徒歩25分 タクシー10分

バス:10分(3番線乗り場 新井行・新井バス停下車)

駐車場 30台
地図